米国防長官、異例のカンボジア日帰り訪問 中国の基地利用を懸念

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米国のオースティン国防長官(左)とカンボジアのフン・マネット首相=4日、カンボジア・プノンペン/Stringer/Pool/AFP/Getty Images

米国のオースティン国防長官(左)とカンボジアのフン・マネット首相=4日、カンボジア・プノンペン/Stringer/Pool/AFP/Getty Images

プノンペン(CNN) オースティン米国防長官が訪問先のシンガポールからカンボジアを日帰りで訪れ、同国首相や前首相、国防相と会談を重ねる強行日程をこのほどこなした。

中国寄りの姿勢が近年強まっているとされるカンボジアが、国内のリアム海軍基地の独占的な利用権を中国へ付与することへの米国側の懸念の強まりをうかがわせる行動ともなっている。

オースティン長官がカンボジアのティア・セイハ国防相との会談を目的に同国を訪れるのは初めてという異例の措置だった。

同基地は、主権論争が続き、中国の威圧的行動が目立つ南シナ海に近い戦略的な意味合いも持つタイ湾沿いに位置する。台湾問題でも米中間の対立は深まっており、米国は中国による新たな前線拠点としてのリアム基地の単独利用に警戒心を募らせている。

基地はもともと米国が建設したものだが、カンボジアは2017年に米国との合同軍事演習を取り消し、20年には基地施設の解体にも踏み切っていた。その後、中国の援助で拡張工事が進み、昨年12月には中国海軍の戦闘艦船2隻の寄港が確認されてもいた。

一方で米国はカンボジア国内の人権侵害や民主主義の退潮を再三非難。バイデン政権は昨年、カンボジアで実施された選挙は公正でないとして同国の特定の個人へ制裁を科してもいた。

米国防総省当局者によると、オースティン氏はカンボジアでの一連の会談で同基地での中国艦船の存在などへの懸念を表明したという。

カンボジア政府当局者は、同基地が中国の海軍基地として使われることを再三否定。拡張工事などはカンボジア憲法に従ったものであり、領内での外国軍の基地設置は禁止されているとも主張している。中国側は拡大工事についてカンボジア海軍の能力強化のための「援助事業」と形容している。

オースティン長官はカンボジア訪問で、フン・マネット首相や、父親であり現在は上院議長を務めるフン・セン前首相とも会談。フン・セン政権が約40年間続いた同国では昨年、指導者交代が実現していた。

フン・マネット氏はオースティン氏と同様、米陸軍士官学校の卒業生。父親と比べ思考方法などがより欧米化されているともみられ、オースティン氏との個人的な関係構築への期待感もある。

米国防総省は長官のカンボジア首脳陣との会談結果の骨子を発表。地域の平和と安全を支持する両国間の防衛協力の強化に努めるとし、この中には自然災害対策への支援や国連の和平維持活動への参加、軍事訓練参加への相互交流などが含まれるとした。

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