米国務省、ウクライナ「アゾフ連隊」への兵器供与を解禁
(CNN) 米国はこのほど、ウクライナの「アゾフ連隊」に対する兵器供与と訓練の禁止を解除した。アゾフ連隊は港湾都市マリウポリの防衛で不可欠な役割を果たしたものの、過去の行動が論議を招いている。
米国務省によると、この禁止法は「リーヒー法」と呼ばれ、人権侵害に関与した外国部隊への軍事支援や訓練を全面禁止する内容。
第12特務旅団アゾフは2023年、当初の組織の解体後、ウクライナ国家親衛隊に統合された。マリウポリ一帯でロシアの占領に抗戦した際の働きぶりが称賛された。
アゾフ連隊は米国からの安全保障支援の供与解禁を歓迎。11日の声明で、「我が部隊の歴史における新たな一ページだ」と表明した。
「米国の支援を受けられるようになれば、アゾフの戦闘有効性が高まるだけでなく、最も重要なことに、人員の命と健康を守る助けにもなる」としている。
一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は11日、米国の決定を非難し、米国は「ネオナチと戯れる用意さえある」と指摘した。ロシア国営タス通信が伝えた。
アゾフ連隊は14年、ロシアの侵攻からウクライナを守る民兵として発足した。当初は「アゾフ大隊」と呼ばれ、マリウポリ一帯で活動していた。当時ウクライナ国防省は義勇兵部隊に対し、国軍や抵抗運動を支援するよう呼び掛けていた。
公式サイトによると、この年、アゾフ大隊は「再編を経て内務省特別警察連隊へ拡大解消」した後、国家親衛隊の一部になったという。
アゾフ連隊を巡っては、白人至上主義者やネオナチ思想とのつながりを指摘する声もあるが、同隊は「ファシズムやナチズム、人種主義の疑い」については繰り返し否定してきたとしている。
米国務省は11日、ロシアがアゾフ連隊の「信用をおとしめる」偽情報工作を積極展開していると指摘。「ロシアは長年、ウクライナ国家親衛隊の第12特務旅団アゾフと、14年のロシアの侵攻からウクライナを守る目的で設立された民兵を一緒くたに扱おうとしてきた」「その民兵は15年に解散した。アゾフ特務旅団はこの民兵とは無関係だ」と説明した。
米国務省はリーヒー法に基づく審査手続きを適用した結果、第12特務旅団アゾフによる「甚だしい人権侵害の証拠は見つからなかった」と明らかにした。