米で殺人含む凶悪犯罪が減少基調、新型コロナ禍以降に FBI
(CNN) 米連邦捜査局(FBI)は20日までに、米国内で今年第1四半期(1~3月)に起きた凶悪犯罪が前年同期比で15.2%減少したと報告した。
殺人事件は26.4%、レイプは報告があった分だけで25.7%、加重暴行は12.5%それぞれ下落したと発表。強盗は17.8%減だった。
ガーランド米司法長官は声明で、今回のデータは昨年みられた凶悪犯罪の歴史的な落ち込みの傾向が続いていることを明確にしたと歓迎した。
FBIによると、窃盗犯罪は15.1%減を記録。不法侵入は16.7%、車両の盗難は17.3%それぞれ低下した。凶悪犯罪と窃盗犯罪の減少は全米各州で確認された。
犯罪専門家は殺人事件が高率で低落し続けている基調に触れ、年間単位では最大の減少幅につながる可能性があると分析。今年の殺人件数はシアトル、ニューオーリンズやボストンなどの大都市部では昨年の最初の5カ月間に比べ40%以上低減しているとした。
刑事司法問題などを手がけるコンサルティング企業の調べによると、全米265都市を対象にした速報データによると、殺人事件の発生件数は現段階で昨年と比べ19%減っているという。
ただ、FBIが今回公表した四半期ごとのデータはあくまで暫定的なもので、その収集方法に関しては大きな限界がある。依拠のデータは警察機関が自主的に提供したものに偏っている。
また、犯罪問題の専門家はFBIの四半期別のデータは不正確とも断定。FBIが最終確定したデータを発表する前、米各地の法執行機関は当該年の残る期間中にデータの信憑(しんぴょう)性を調べ、誤りがあればこれを正す手続きに触れた。
米国内の殺人事件の発生率は新型コロナ禍が全米を襲った2020年には急増していたが、同年以降は減少。FBIによると、同事件は20年には前年比で約30%増に激増。この増加幅はFBIが犯罪の統計収集を開始した1960年代以降では単年としては最大だった。
凶悪犯罪の発生件数が落ち込んでいることについては、新型コロナ禍の時期には緩んでいた銃器保持などへの警戒感がここにきて再び強まってきた背景を指摘する声もある。
FBIが今回公表したデータは、全米各地にある1万9000を超える法執行機関のうち1万3719が寄せた情報に基づいた。