「トランプ流血Tシャツ」すかさず販売、熱烈支持者が前大統領にかける思い
米ウィスコンシン州ミルウォーキー(CNN) 米国のドナルド・トランプ前大統領暗殺未遂事件が発生した13日。アンドリア・ニューザーさんは夫でビジネスパートナーのブラッドさんに電話をかけ、事件を伝えるニュースに涙を流し、そしてすぐ仕事に取りかかった。
あらゆる感情が込み上げる中で思いついたのは、「これはシャツにしなければ」というアイデアだった。
暗殺未遂の数日後、米ウィスコンシン州ミルウォーキーで始まった共和党全国大会の会場前では、銃撃された直後のトランプ氏の写真が入ったTシャツや帽子、ピン、アート作品など、あらゆるグッズが路上で販売されている。
販売スタンド前で取材に応じたニューザーさんは、「これほど恐ろしい出来事を利用してもうけようとしているわけではない」としながらも、このチャンスを逃すのはあまりに惜しいと打ち明けた。
血を流しながらこぶしを振り上げたトランプ氏のあの写真に「FEARLESS」の文字をあしらったTシャツは、ノートパソコンやプリンターを使って制作し、自宅の地下室で完成させた。
15日午後までには共和党大会の会場入り口近くの場所を確保。Tシャツは飛ぶように売れた。
オハイオ州シンシナティから共和党大会を訪れたクリスティーナ・ホルブルックさんは、同じようなシャツを近くの別の業者から購入した。
「ドナルド・トランプがこぶしを突き上げて『ファイト、ファイト、ファイト』と言った時、私たちにはまさにこれが必要だったと感じた」とホルブルックさんは言う。「私たちは命をかけた戦いのさなかにある。今、この米国で。だからこれはきっと売れる」
ミシシッピ州共和党議長のマイク・ハーストさんは、妻と共に会場に入ろうとして、FEARLESSシャツに目を留めた。既に前日、ネットで別の1枚を購入したばかりだった。
「シークレットサービス(大統領警護隊)が飛び込んだあと、大統領が立ち上がった。その瞬間の反応は、演出ではなく自然だった。こぶしを突き上げて言った『ファイト、ファイト、ファイト』。あれが赤い血の流れる全てのアメリカ人を奮い立たせた」とハーストさんは熱く語る。
Tシャツにあしらったあの写真は、暴力や死を美化するものではないとニューザーさんは言い、「あれは彼がどれほど大胆不敵で偉大なリーダーかを表している」と力説。それが自分たちのビジネスの根源でもあると力を込めた。
ミルウォーキー郊外で家族と暮らすニューザーさんは、二つの大卒資格を持ち、行動療法の専門家として自閉症の子どもたちとかかわる仕事をしている。しかしそうした仕事だけでは生活は成り立たない。
夫のブラッドさんが徹夜してTシャツを仕上げ、共和党大会の会場へ向かったのは、「最後まで頑張って」自分たちの生活費をまかない、キリスト教保守派の教えを広めるためだった。
「私たちの成功はものすごく大切、失敗はあり得ない」とニューザーさんは訴える。「このために注ぎ込んだ分を返済しなければならない。私たちは苦労している。私たちがこれほど苦労しなければならないとは思えない」