地下鉄駅で警察が発砲 警官や容疑者負傷、巻き添えの1人重体 NY
ニューヨーク市ブルックリン(CNN) 米ニューヨーク市内の地下鉄の駅で、警官がナイフを持った無賃乗車の男に発砲する事件があり、4人が負傷した。ニューヨーク市警は警官が身に着けていたボディーカメラの映像を公開。市民からは警官の発砲に対する批判が噴出している。
事件は9月15日にニューヨーク市ブルックリン区の地下鉄の駅で発生。警官1人と無賃乗車の男1人を含む4人が撃たれて負傷した。
男は2ドル90セントの運賃を払わずに地下鉄改札口のゲートを飛び越えたところで交通パトロール警官2人に見つかり、退出を求められた。警察によると、男はダレル・ミクルズ容疑者(37)。ナイフを所持していたとされる。
ミクルズ容疑者はいったん改札から出た後に非常口を通って同じ駅に侵入。2人の警官がホームで同容疑者を追い、ナイフを捨てるよう何度も命じたが、ミクルズ容疑者は従わなかったと警察は説明している。
市警はボディーカメラと防犯カメラの映像を編集した上で、20日に公開した。ミクルズ容疑者とされる男は、駅で警官に追われ、そこへ到着した地下鉄の車内に逃げ込んだ。
車内から再びホームに出たミクルズ容疑者は、追い詰められて警官に向かってきた後、突然動きを止めた。映像には、2人の警官がミクルズ容疑者に向けて複数回発砲し、ミクルズ容疑者が地下鉄の車内に倒れ込む様子が映っている。
警察は、ミクルズ容疑者が襲いかかってきたため警官が3回のみ発砲したと説明。「警官たちは容疑者に対してナイフを捨てるよう30回以上も指示し、テーザーを3回使用したが、どれもうまくいかなかった」とSNSに書き込んでいる。
この銃撃で、その場に居合わせた2人と警官1人が負傷した。ニューヨーク・タイムズ紙によると、居合わせた人のうち1人は、流れ弾が頭部に当たって20日現在、重体になっている。
ミクルズ容疑者は警官に対する暴行などの容疑で逮捕された。20日には入院先の病院で裁判所の召喚手続きが行われ、無罪を主張した。
警察の武力行使に対しては、市民から抗議の声が巻き起こっている。市民団体は防犯カメラとボディーカメラの映像について、警官の行動の全容をとらえていないと主張し、「ミクルズ氏が警官の1人に『襲いかかった』という市警の主張とは完全に矛盾する」と指摘。「映像で明らかなように、NY市警の警官が彼に向けて発砲した時、ミクルズ氏はじっと立っていた」と訴えた。