米特別検察官、トランプ氏の起訴取り下げへ 大統領選結果転覆と機密文書取り扱いの裁判
(CNN) 米国のジャック・スミス特別検察官は、2020年の大統領選の結果転覆と機密文書の不適切な取り扱いに関するトランプ次期大統領への起訴を取り下げる見通しだ。25日に裁判所へ提出した文書で取り下げの意向を示した。
トランプ氏はかねて、大統領に返り咲けばスミス氏を解任すると明言している。これは特別検察官の捜査を巡る従来の規範を損なう措置となる。
スミス氏は選挙結果転覆の訴訟について、首都ワシントン連邦地裁のタニヤ・チュトカン判事に提出した6ページの文書の中で「合衆国憲法上、この訴訟は被告の大統領就任前に取り下げなくてはならないというのが(司法)省の立場だ」「この結果は被告に対する訴訟の妥当性や強さに基づくものではない」と述べた。
米国史上、連邦犯罪で起訴された大統領経験者はトランプ氏が初めてだった。
連邦最高裁は今夏、大統領在職中の公的な行為についてトランプ氏の免責を一部認める画期的な判断を下したが、裁判を遅らせるトランプ氏の戦略により、11月の大統領選前に公判は行われないことが確実となっていた。
トランプ氏は上記2件の訴訟の全ての罪状について無罪を主張している。
同氏の広報担当者のスティーブン・チャン氏は声明で、起訴取り下げの動きを「法の支配にとっての大勝利」と形容。「米国民とトランプ大統領は、我が国における司法制度の政治的武器化の即刻終了を望み、国が一つになるのを楽しみにしている」と述べた。
スミス氏は今回の文書の中で、機密文書の不適切な取り扱いに関してトランプ氏の職員2人に対する訴訟は依然として有効だと明らかにした。
またトランプ氏の大統領免責特権は「一時的」なものになるとの見方を示し、将来再び起訴される可能性もあることを示唆した。