米ブラウン大学研究者、レバノンに強制送還 ヒズボラ指導者の葬儀に参列か
(CNN) 米ブラウン大学研究者を務める医師が、レバノンを訪問して米ボストンの空港に到着したところで拘束され、レバノンに強制送還された。関係者がCNNに語ったところによると、連邦当局がこの女性の携帯電話を調べたところ、レバノンの武装組織ヒズボラの指導者だったハッサン・ナスララ師の写真やイランの最高指導者の写真が見つかったとされる。
関係者によると、強制送還されたラシャ・アラウィエ氏(34)は、訪問先のレバノンから米国に戻り、13日にボストンのローガン国際空港に到着したところで、連邦捜査官が問題の写真を発見したという。捜査官が携帯電話を調べた理由は現時点で分かっていない。
写真の存在は、17日に裁判所に提出された書面に記載されていた。書面を入手したCNN提携局のWCVBによると、アラウィエ氏はローガン空港に到着する1~2日前にそうした写真を削除した理由について、「ヒズボラやアヤトラ(イラン最高指導者ハメネイ師)を政治的あるいは軍事的に支持しているという印象を当局に持たれたくなかった」と説明したとされる。
関係者によれば、アラウィエ氏は2月23日に営まれたナスララ師の葬儀に参列したことを認めたとされる。
アラウィエ氏側の弁護士は17日、ボストンの裁判所前で「彼女を米国へ連れ戻して両親に会わせるため、我々は闘いをやめない。政府を法の支配に従わせる」と記者団に語った。
関係者によると、アラウィエ氏はナスララ師(昨年9月にイスラエルのベイルート空爆で死亡)について、尊敬される宗教指導者であり、自分は同師の宗教的、精神的な教えに従っているものの、政治的には従っていないと捜査官に語ったとされる。
さらに、ヒズボラがテロ組織だとも認めたという。ヒズボラは中東でイスラム教シーア派に広く支持される一方、米国など西側の主要国はテロ組織に指定している。
米国土安全保障省の報道官は、「先月、ラシャ・アラウィエはレバノンのベイルートに渡航し、ヒズボラを率いた残忍なテロリスト、ハッサン・ナスララの葬儀に参列した」と述べ、「ビザは特権であり権利ではない。米国人を殺害したテロリストを賞賛し美化することは、ビザ発給を拒絶される根拠となる。これは安全保障の常識だ」と言い添えた。