アナン前事務総長、シリア特使を辞任へ 国際社会の分裂を非難
(CNN) 内戦が激化しているシリア情勢をめぐり、国連とアラブ連盟の特使を務めてきたアナン前国連事務総長が、特使辞任を表明した。辞任の理由として、国連安全保障理事会で国際社会が一致した対応を取れなかったことなどを挙げている。
特使としての任期は8月31日まで。アナン氏は潘基文(パン・ギムン)国連事務総長とアラブ連盟のアラビ事務局長に対し、その後の継続は望まない意向を伝えたと語った。
シリア国営テレビは、同国がアナン特使の辞任に遺憾の意を表明したと報道。潘事務総長は、アラビ事務局長とともに後継者探しに着手したことを明らかにした。
アナン氏はジュネーブで、シリア情勢について「流血が続いているのは大部分がシリア政府の強硬姿勢と、反体制派の軍事作戦強化によるものだ。そのすべてが国際社会の分裂により一層複雑になっている。絶望的な状況の中でシリア国民が行動を求めているにもかかわらず、安保理では責任のなすり合いと非難の応酬が続いている」と批判した。
安保理ではシリアのアサド政権に対する非難決議案が、ロシアと中国の拒否権行使で繰り返し否決されてきた。アナン氏は「国際社会が一致して圧力をかけない限り、私であろうと誰であろうと、シリア政府を突き動かし、反体制派を政治的プロセスに着手させることは不可能だ」と強調している。
アナン氏は2月に特使に任命されて停戦を含めた調整案の取りまとめに当たり、国連は停戦の履行に向けて監視団を組織した。しかし停戦が守られることはなく、戦闘の激化を受けて国連監視団は監視活動の中止を余儀なくされている。