米・イラン戦争、世界経済に最大240兆円の被害か 報告書
(CNN) 米ワシントンのシンクタンク「米国科学者連盟」は18日までに、地上軍の侵攻など米国とイランが全面戦争となった場合、世界経済が受ける被害額は開戦後の3カ間で2兆ドル(約162兆円)近くに達し、最大で3兆ドルに膨れる可能性があるとの報告書をまとめた。
同団体が集めた専門家9人が戦争がもたらす世界経済への影響度を分析した。欧米と厳しく対立するイランの核開発計画を放棄させるための全面的な地上戦が発生する可能性は少ないとしながらも、シナリオの1つとして想定している。
報告書作成の責任者の1人は、イランとの軍事対立の問題で、原油価格の高騰や核開発計画の変化、イランが受ける被害への考究などは以前にあったと指摘。しかし、世界全体への影響度を大きな視点でとらえた分析はこれまで少なくとも公表された例はないと述べた。
開戦後3カ月間の被害額は中間的な推定数字とも説明。より長期の被害額の算定は不確定要素が多く、不正確となるため盛り込まなかったとしている。
報告書は、新たな経済制裁や海上封鎖、標的を絞った攻撃、空爆、侵攻、軍事作戦の縮小など各局面での被害額を推定。
経済制裁では、現行の金融制裁やイランのエネルギー産業を世界経済から隔離させる対抗措置に加え、外貨準備額の減少を狙った国際的な貸し付け制限の新たな制裁措置で生じる被害額は640億ドルと算出。エネルギー産品輸出の阻止を狙う海上封鎖に必要な米軍のペルシャ湾での展開やエネルギー分野への投資の世界的な禁止、国際的な貸し付けやイラン国債への投資禁止では3250億ドルとはじき出した。