激しさ増す北朝鮮の挑発 正恩氏は新たな脅威か、内部で混乱か
相手を驚かせたり曖昧(あいまい)な態度を取ったりして、対決が全面的にエスカレートすることは避けてきた北朝鮮だが、もし威嚇が直接的衝突にまで発展するのであれば、新指導部内部で何か重大な問題が生じているということだ。
威嚇に続く「微笑み外交」で緊張を和らげ外交的な実利を得てきた北朝鮮には、米国と同様にウンザリしている韓国だが、春の軍事演習が終了に向かう中で、北朝鮮に緊張緩和のチャンスを与えようとしている。
朴槿恵(パククネ)大統領の韓国新政権は、人道支援と北朝鮮の核開発問題を分離して扱っており、「信頼プロセス」の醸成を通じ南北関係を改善するとして粘り強く和解を呼びかけている。
北朝鮮にとり韓国は、国内の体制固めのためには敵であるべきだが、経済援助の提供国でもあるという矛盾した存在だ。そして、威嚇と微笑外交を交互に繰り出すという古びた戦略で北朝鮮が得られる利益が減り続けているため、北朝鮮への対処は、今回はより困難なのかもしれない。
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本記事は、米シンクタンク「外交問題評議会」で朝鮮問題担当の上席研究員などを務めるスコット・スナイダー氏によるものです。