シリアの化学兵器疑惑、「事実確認が必要」と米大統領
ダマスカス(CNN) シリア内戦で化学兵器が使われているとの疑惑について、オバマ米大統領は30日、事実をさらに確認する必要があると述べた。米政権はかねて、シリアのアサド政権が国民に対して化学兵器を使用すれば、米国の対シリア政策は一変すると警告していた。
米政府は先週、シリア政府軍がサリンなど少量の化学兵器を使用している証拠があると発表したが、その後も大幅な方針変更は示していない。オバマ大統領は「化学兵器をだれが、いつ、どのように使ったのかは不明だ」としたうえで、「決断を下すためには事実を確実に把握する必要がある」と強調した。
一方、シリア反体制派「自由シリア軍(FSA)」の報道官は同日、アサド政権が仕掛けたとみられる化学兵器の不発弾を北西部イドリブで回収したと発表。「政権側が国連の調査団を受け入れないなら、われわれがこの証拠を国際社会に示す」と述べ、不発弾を国外へ持ち出して調査する構えを示した。
首都ダマスカスではこの日、旧内務省ビル前の車に仕掛けられたとみられる爆弾が爆発し、少なくとも13人が死亡した。国営テレビは「テロリスト」の犯行と非難し、負傷者は70人に上ったと伝えた。これに対してFSA報道官は、「化学兵器問題に関する国連安全保障理事会の会合を前に、アサド政権が国際社会から同情を引く目的で仕組んだ攻撃だ」と主張した。
29日にはダマスカス市内で、ハルキ首相の車列を狙ったとみられる爆発が発生。反体制派「シリア人権監視機構」によると、警護官1人と民間人5人が死亡、運転手ともう1人の警護官が重傷を負ったが、首相は無事だった。犯行声明は出ていない。反体制派はこの爆発についても、政権側の自作自演だったとの見方を示している。