エジプト大統領、軍の最後通告を拒否
カイロ(CNN) エジプトのムルシ大統領は2日、48時間以内の事態収拾を求めた軍の「最後通告」を拒否する姿勢を示した。大統領の辞任を要求するデモはこの日も続き、軍の定めた期限が現地時間の3日夕に迫る中、緊張が高まっている。
ムルシ大統領はテレビ演説で、「国民は自由選挙で私を大統領に選んだ。私は国民が制定した憲法に従わなければならない」と強調。自身の辞任や選挙の前倒しには言及しないまま、軍に対して最後通告を撤回し、本来の任務に戻るよう促した。
中東メディアなどの報道によると、ムルシ大統領が反大統領派との間で期限内にデモ終結の合意を取り付けられなかった場合、軍は憲法停止、イスラム勢力主導の議会解散、大統領の権限剥奪に踏み切る構えだという。
その上で、主に文民で構成する暫定議会を設置して新憲法を起草し、大統領選を実施する意向とされる。
大統領が軍の要求を拒否したことで、「ムスリム同胞団」など大統領支持派と反大統領派の衝突がさらに激化する不安も高まった。
デモは3日目に突入。保健省によると、カイロ大学で銃に撃たれるなどして少なくとも7人が死亡した。国営通信は先に、エジプト全土で少なくとも4人が死亡、144人が負傷と伝えていた。
米政府高官によれば、米政府は情勢の緊迫化を受け、ムルシ大統領に対して早期の選挙を促すとともに、エジプト軍に対しては、もしクーデターを起こせば米国からの援助を打ち切られる危険を冒すことになると警告した。