監視付き取材で垣間見た、北朝鮮の市民生活の実態
平壌(CNN) 愛国歌を流し続ける国営航空、歴代の指導者を礼賛する市民や子どもたち、炎天下の軍事パレードの後に疲れ切って倒れ込む人たち――。CNN取材陣はこのほど朝鮮戦争休戦60年記念行事に招かれて北朝鮮を訪れ、厳重な監視の下で垣間見た平壌の人々の姿を取材した。
取材は北朝鮮の国営航空、高麗航空への搭乗から始まった。機内では乗客が搭乗した瞬間から降りるまでの間、ずっと愛国歌が流れ続ける。大音響の音楽はイヤホンをしても遮断できず、トイレの中でさえ、流しの横のスピーカーから音楽を聞かされ続けた。
5日間にわたった平壌滞在中、行動の自由はほとんどなく、念入りに演出されたツアーに参加する以外は、一般市民の生活を取材する機会は与えられなかった。外国人ジャーナリストにとって、それは小さな鍵穴からのぞき見するようなもので、扉の向こう側の世界は想像するほかない。
朝鮮戦争休戦60年記念行事には、各国のテレビの取材班数十人が招かれた。北朝鮮はこの戦争について、「祖国解放戦争において米帝国主義に対する偉大な勝利」を収めたと形容する。記念式典では軍事パレードが果てしなく続き、金正恩(キムジョンウン)第1書記の人気が大々的にアピールされた。
その華やかな表舞台とは対照的に、国連食糧計画は先月、北朝鮮の乳幼児とその母親の急性栄養失調を防ぐため、240万人分の食糧援助を呼びかけている。これは北朝鮮の人口の約10%に当たる。北朝鮮の経済が破綻(はたん)しかけた1990年代には100万人が餓死したとみられている。