監視付き取材で垣間見た、北朝鮮の市民生活の実態
休戦記念の軍事パレードが行われた7月27日は非常に気温が高く、蒸し暑い日だった。制服姿の軍人たちは、照り付ける太陽の下で何時間も待機し、広場を見下ろす屋根付きの観覧席に金正恩氏が姿を見せると、兵士や市民が何時間にもわたって行進やパフォーマンスを披露した。
正午ごろにようやく金氏が立ち去ると、その瞬間、パレード参加者も観客も地面に倒れ込んだ。多くが熱中症や極度の疲労に見舞われているのは明らかだった。意識を失いかけた兵士や、あえぎながら座り込む年配の退役兵もいた。
CNNのカメラマンは、苦しそうな様子で横たわる民間人の女性に駆け寄って水を差し出した。女性は水を受け取り、友人2人に抱えられて立ち去った。一見したところ、パフォーマンスが行われた広場には水分が補給できる場所はなさそうだった。
その夜にも外国からの賓客を集めて式典が行われた。金正恩氏は集まった人たちを数時間待たせた後に登場。主賓である中国国家副主席の隣に座り、オープンしたばかりの戦争博物館の上空に上がる花火を鑑賞した。
観衆を見渡すと、ほぼすべての列の中に、疲れ切って居眠りをする人が少なくとも1人は見つかった。目の前で展開される戦勝記念の花火に関心はなさそうだった。