水没する炭鉱の町、10年で10万人が強制移住 中国
1960年代にこの地域で石炭が発見され、地元経済はブームに沸いた。ある石炭会社は地元の中小企業からエネルギー大手へと成長した。町の労働者の2人に1人はこの会社の社員だ。
石炭企業で働くメンさんは30年前、ここがまだ開発の手が入っていない田舎町だったころのことを覚えている。「私が子どものころ、この街には工場もショッピングモールも駅もなかった。今では、中国北部で最も裕福な地域の1つになった」と語る。
しかし、繁栄は高くついた。メンさんは毎日、何百もの陥没穴を避けて仕事場へ向かう。メンさんも多くの住民と同じく、済寧市がもうけの多い石炭ビジネスから撤退するには手遅れだと考えている。メンさんは「石炭会社がなければ、私たちにはなにもない。私たちにできることは採掘を続け、陥没穴をふさぐことだけだ」と語る。
ここ数年、地元当局者はいくつかの独創的な解決法を試している。それは、ぽっかりと開いた穴を水をテーマにした公園や釣り堀、湖に変えるというものだ。水鳥の観察場に生まれ変わったものや、太陽光パネルで発電する魚の養殖池となったところもある。
しかし、沈下した土地の半分以上は、放棄されたままだ。