ムバラク元大統領の保釈を命令 エジプト裁判所
(CNN) 2011年に中東・北アフリカで広がった民主化運動「アラブの春」で退陣に追い込まれ、反政府デモへの弾圧など複数の罪で公判中のムバラク元大統領(85)の身柄をめぐり、同国の裁判所は21日、保釈を命じた。国営メディアのアハラムが伝えた。
ムバラク元大統領は11年の退陣直後に身柄を拘束され、昨年6月、反政府デモ参加者に対する暴力を命じたとして終身刑の有罪判決を受けた。だが上告し、今年1月に裁判のやり直しが決まっていた。
ところが別件の汚職罪を問われた裁判で、裁判所は元大統領の保釈を命じた。理由は判決前に認められている勾留期限を過ぎたからだという。
一方、国営メディアは、エジプト軍が元大統領を自宅軟禁にする布告を出したと伝えた。出国は認められないとみられる。
検事総長はムバラク元大統領の勾留続行を求めないとの意向を示しており、保釈実現への道が開かれたことになる。ムバラク元大統領の弁護士によれば、早ければ22日中にも保釈されるという。
エジプトでは、7月のクーデターでムスリム同胞団を支持母体とするムルシ前大統領が失脚。ムルシ派と治安部隊の衝突で合わせて900人あまりの死者が出る事態となっている。ムルシ氏は今も身柄を拘束されたままだ。
ムバラク元大統領は、退陣後に心臓発作をわずらい、病気のために公判には耐えられないと主張してきた。ウッドロー・ウィルソン・センターの中東アナリスト、ロビン・ライト氏は、高齢で病身であるため政権中枢への復帰はないだろうとの見方を示した。