相次ぐ爆発で37人死亡、テロ激化に懸念 イラク
(CNN) イラクの首都バクダッド各地で30日、自動車爆弾が相次いで爆発し、37人が死亡、155人が負傷した。イラクの宗派対立によるテロが再び激化する中で、避難民増加などの懸念も強まっている。
警察によると、30日だけでバグダッド市内と近郊の繁華街など11カ所で爆発があった。このうち3件は、イスラム教シーア派の住民が多数を占める地域が狙われた。
過去数年で安定を取り戻しつつあったイラクは、最近になって再び治安が悪化している。国連が9月にまとめた統計によると、2013年にテロなどの犠牲になった民間人は5000人を超え、負傷者は1万2000人に上る。特にバグダッドを中心とする地域は被害が大きいという。
米戦略国際問題研究所(CSIS)はこうしたイラクの情勢について、「深刻な内戦状態に陥りかねない」と警告。事件を引き起こしているのは過激派やテロ組織ばかりではないと述べ、「シーア派とスンニ派の根深い宗派分断、およびアラブ人とクルド人など少数民族の分断を橋渡しする新しい国家アイデンティティーの確立に向け、イラクがもがき続けている結果でもある」と指摘した。
国連難民高等弁務官事務所によれば、バグダッド周辺で相次ぐテロのために避難を強いられた住民は約5000人に上る。それ以前にも、宗派対立の激化によって、130万人以上がイラク国内で避難生活を送っているという。