リビア首都で民兵がデモ隊に乱射 内戦後、最悪規模の死傷者
トリポリ(CNN) リビア政府は15日、首都トリポリで同日、民兵組織とデモ隊が衝突、少なくとも31人が死亡、約300人が負傷したと発表した。2011年の内戦に伴う首都陥落以降、トリポリで発生した衝突では最悪規模となった。
同国政府の声明などによると、衝突は西部ミスラタ出身の民兵組織の本拠地へ向けて市民らがデモ行進し首都からの退去を求めたのがきっかけ。数百人規模のデモの参加者らによると、民兵組織の拠点があるトリポリ南部で発砲を受けたという。
地元の民間テレビは、民兵がトラックに載せた対空砲とみられる兵器を用い、デモ隊に乱射する画像を流した。怒ったデモ隊が武器を携えて現場に戻り、首都内の他の民兵組織も加担して応戦し、戦闘は数時間続いたという。市内には15日夜半まで重火器の銃声、砲声や爆発音が鳴り響いた。
政府は15日夜の声明で、デモは政府の許可を得た平和的な行動のものだったと指摘。「政府はトリポリを含む諸都市の武装集団を追放するため国民に対し街頭での抗議行動を呼び掛ける」とも述べた。
一方、ミスラタの民兵組織司令官は電話で国営テレビに対し、デモ隊が最初に発砲、自派戦闘員1人が死亡したと主張。憲法が成立すれば首都を去ることに合意していたが、15日の騒乱を受け考えを変えたとし、死を賭して最後まで戦うと宣言した。
11年のカダフィ旧政権の崩壊を受け、首都には各地の民兵組織が集結。新政権樹立への政治プロセスが進む中でも、武装解除せず政情不安が深刻化する一因となっている。首都や東部ベンガジなどでは民兵組織間の戦闘も発生。先月にはジダン首相がトリポリのホテルから民兵に一時拉致される事件が起きた。