シリア政権に戦争犯罪関与の「証拠」 国連人権弁務官が明言
(CNN) 国連のナビ・ピレイ人権高等弁務官は2日、シリア内戦に関する国連調査委員会の事実関係調査で、シリア政府最上層部が戦争犯罪に関与したことを裏付ける「多大な証拠」が見つかったと発表した。
ピレイ氏はシリアのアサド大統領を名指しすることは避けながらも、国連調査委員会が収集した証拠は、政権トップの関与を示唆するものだったと明言した。
スイスのジュネーブで記者会見したピレイ氏は、調査委員会の見方として「極めて深刻な犯罪や戦争犯罪、人道に対する罪が犯された」と述べ、「国家元首を含む政府の最上層部の責任を示唆する証拠」が見つかったと語った。
ただ、同委員会がまとめた「容疑者」の一覧に、アサド大統領の名があるかどうかについては明らかにしなかった。この一覧は、事実確認の段階から正式な国際捜査の段階に入るまでは機密扱いとなり、ピレイ氏も目を通していないという。
ピレイ氏はさらに、反体制派の戦争犯罪を裏付ける証拠もあると指摘した。また、内戦が始まった2011年以来、10万人を超す犠牲者が出ていることについては、大部分は通常兵器を使った攻撃によるものであり、化学兵器によるものではないと結論付けた。
シリアでは化学兵器禁止機関(OPCW)と国連の合同チームが化学兵器の廃棄に向けた手続きを進める一方で、通常兵器の流入は止まっていない。米当局者は9月の時点で、シリア反体制派に武器や弾薬を供給したことを確認した。一方、ロシアは以前からシリア政府に武器を供給している。