アジアで拡大する中流階級――空前の繁栄は目前に
アジア地域はまだ、西欧が到達した、戦争の可能性がゼロという素晴らしい水準には達していない。しかし、伝統的には戦争の可能性を減らすことにつながる中産階級の拡大によって、そうした方向へ進んでいるといえるだろう。
全てが朗報というわけではない。直面する最大の課題は、これら全てが環境に影響するということだ。
もし、アジアで拡大した中流階級の全員が西欧のモデルを通じ、西欧の生活水準を切望すれば、地球環境にかかる負担は破滅的なものとなるだろう。
米国の電力消費量は2010年に1人当たり1万3395キロワット時に達した一方で、中国とインドはそれぞれ、同2944キロワット時と同626キロワット時だった。中国とインドは現在でも米国の3倍を超える人口を抱えている。しかし、1人当たりの電力消費量はごくわずかだ。
アジアにおける中流階級の拡大を押しとどめることが出来ないのは明白であり、そうであれば、こうした社会が環境に与える影響について、より責任を持つようになることが望まれる。
アジアの指導層は、この領域でなすべきことがあることは理解している。しかし、解決策という意味では、先進国が途上国に対して模範を示して導くことも重要だ。これは、長期的な政策を考える人たちにとって大きな挑戦だ。