アジアで拡大する中流階級――空前の繁栄は目前に
もし、中国のような国に、地球環境に対して注意を払う責任ある利害関係者として台頭してきてほしいと望むなら、そのやり方を言葉ではなく行動で示さなくてはならない。
この大きな流れにアジアの中流階級が寄与できるとすれば、その方法のひとつは、科学技術分野に大量の「脳力」を送り込むことだろう。
日本のエネルギー効率の水準は中国の10倍だ。だから、もし中国が教訓から学ぶことが出来れば、拡大する中流階級は環境負荷の少ない科学技術の研究といった分野に貢献できるだろう。資源の利用を抑制しながら、より大きな経済成長を生み出すことにつながるかもしれない。
だから、アドバイスは簡単だ。特にアジアで顕著な中流階級の拡大という世界的な流れを歓迎すべきだ。その大陸に住む人々の生活水準は10年にわたり上昇し、過去何世紀も享受してこなかった水準の平和と繁栄を経験することになるだろう。環境問題などの課題を克服することが出来れば、 繁栄が何年にもわたって続くことに疑問はないだろう。
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本記事は、世界経済フォーラム(WEF)の「中国に関するグローバル・アジェンダ会議」のメンバーであるキショア・マブバニ氏によるものです。WEFのリポートから採録しました。記事における意見や見解はすべてマブバニ氏個人のものです。