ヴォルデモート卿はどっち? 日中の英大使が論説で言い争い
香港(CNN) 日本と中国の駐英大使が、英国の新聞紙面で互いに相手を悪役の「ヴォルデモート卿」になぞらえて言い争いを展開している。
ヴォルデモート卿は人気小説「ハリー・ポッター」シリーズに登場する闇の帝王。口火を切ったのは中国の劉暁明・駐英大使で、英デーリー・テレグラフ紙に寄稿した論説の中で、戦没者と戦犯が合祀されている靖国神社を安倍首相が参拝したことに触れ、「軍国主義が日本のヴォルデモートだとすれば、靖国神社はこの国の魂の最も深い闇を表す分霊箱(ホークラックス)に当たる」と書いた。
これを受けて日本の林景一駐英大使も同紙に寄稿、「中国が選ぶべき道は2つある。1つは対話を模索して法の支配に従う道、もう1つはこの地域におけるヴォルデモートの役回りを演じて軍拡競争と緊張激化の悪を解き放つ道だ」と応じた。
中国外務省の報道官は7日、林大使の寄稿について「無知で理不尽で傲慢(ごうまん)」と批判、中国の国営メディアも「中国と日本の世論の全面戦争」とあおった。
一方、インターネット上では両国ともこの言い争いを面白がる論調が目立った。中国のあるユーザーは短文投稿サイトの微博で「中国と日本は未熟な2人の子どものようだ」とコメント。日本のユーザーはツイッターに「過度に感情的にならずに機知と言葉を使って互いの主張をアピールするのはいいことだ」と書き込んだ。
尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を巡り日中間の緊張が高まる中、昨年末の安倍首相の靖国神社参拝で両国の関係はさらに冷え込んでいる。