世界のがん患者、今後20年で1.5倍に WHO
(CNN) 世界保健機関(WHO)は4日の世界対がんデーに合わせ、「世界がん報告」を発表した。世界全体で1年間にがんと診断される患者の数は、今後20年間のうちに1.5倍以上に増えるとの見通しを示し、途上国を中心とした各国政府に対応を呼び掛けている。
WHOの付属機関、国際がん研究機関(IARC)がまとめた同報告によると、2012年に新たにがんと診断された患者は1400万人。これが20年後には2200万人まで増えると予想される。
患者増加の主な原因としては、世界的な人口の増加と高齢化を挙げている。IARCのクリストファー・ワイルド所長は「がんの問題は治療だけでは解決できない。予防や早期発見に力を入れる必要がある」と話す。
がんによる世界の経済的損失は、10年の時点で推定1兆1600億ドル(約118兆円)に上った。これは富裕国の経済の足かせとなり、貧困国にとっては支払い能力を超える額だと、同報告は指摘する。
報告によると、がんの症例のうち約半数は、現代医学の知識を活用した対策で予防が可能と考えられる。具体的な対策としては喫煙や飲酒、食生活、運動といった生活習慣の改善や集団検診の実施、さらにウイルス感染が原因となる子宮頸がんや肝がんのワクチン導入などが挙げられる。