ミャンマー西部の仏教徒、NGO活動を妨害 米国務省
(CNN) 米国務省は29日までに、ミャンマー西部ラカイン州でくすぶる多数派の仏教徒ラカイン族とイスラム教徒のロヒンギャ族の対立に関連し、仏教徒が同州での国際NGO(非政府組織)の活動を妨害している疑いがあるとの声明を発表した。
ラカイン州の州都シットウェーでは適切な治安措置や法の統治の欠如が続いているとの懸念も表明した。
同州での仏教徒とロヒンギャ族の衝突ではこれまで数百人が殺害され、数万人規模が自宅などを失っている。ミャンマー政府はロヒンギャ族を少数民族とは認めず、ラカイン州の住民などの間では隣国バングラデシュからの不法入国者との受け止め方が根強い。
政府は騒乱収拾の対応の遅れで国際社会の批判も受け、最近になり治安維持のため部隊増派に踏み切った。ただ、政府は同州で近く人口調査を予定しており、両教徒間の反目をさらに深める結果ともなっている。
シットウェーでは最近、国際援助団体の事務所や施設が襲われる事件が発生。欧州系の援助団体「マルティーザ・インターナショナル」の外国人スタッフが仏教徒の旗を事務所の建物から除去したことが原因とされた。同州内では人口調査を控え、ロヒンギャ族に反発する印として多くの建物に仏教徒の旗が掲げられている。
同団体幹部は旗の撤去について、人道支援では民族や政治問題で中立性を保つのが最優先課題とし、一方の政治勢力への加担と受け止められることを防ぐ措置だったと説明した。
ラカイン州では先月、国際医療組織「国境なき医師団」の活動がラカイン族の抗議で中止される騒ぎも起きていた。ミャンマー政府は同組織の追放の理由について少数派のイスラム教徒への「偏見」が原因と主張した。