「船と運命を共に」は過去の話? 問われる船長の行動
イタリアのジリオ島沿岸で12年1月に起きた「コスタ・コンコルディア号」の座礁事故の場合、目撃者の証言によれば、船長だったフランチェスコ・スケッティーノ被告は、数百人の乗客を船内に残したまま、救命ボートに飛び込んで脱出したとされる。これに対して同被告は公判で、船が大きく傾いたので救命ボートの中に転落したと主張した。
この事故では32人が死亡し、スケッティーノ被告は過失致死などの罪で起訴されている。
船長の乗客に対する責任について、海事専門家のジェームズ・ステープルズ氏は、「船長の最大の責任は乗員と乗客の安全確保にある」「全員が無事避難したことを確認するまで船にとどまらなければならない」と指摘する。
海上での生命の安全について定めた国際海事協定でも、船長は船と全乗船者に対して責任を負うと定めている。ただ、最後まで船に残るべきとは明記していない。
元海軍特殊部隊員のケード・コートリー氏も、「(船長が)必ずしも船と運命を共にする必要はない。しかし乗船者全員の安全に対する責任はあり、その場にいて対応しなければならない。それをせずに真っ先に逃げるのは、基本的には許されない」と語った。