MERSの感染拡大に懸念 WHO
(CNN) サウジアラビアなどで感染が拡大している中東呼吸器症候群(MERS)について、世界保健機関(WHO)は14日、感染の拡大が深刻かつ差し迫ったものになっていると発表した。ただ、現時点では世界規模での公衆衛生上の緊急事態に当たるとまでは言えないとの見解も示した。
WHOのフクダ事務局長補によれば、これまでに人から人への感染を示すはっきりした証拠は見つかっていないという。
WHOによればこれまでに確認されたMERSへの感染例は571例。うち171人が死亡している。感染が確認された国は18カ国に広がっている。
米疾病対策センター(CDC)のアン・シュチャット氏は14日、このウイルスの感染経路についてよく分かっておらず、「はしかのような形で空気感染するという証拠も今のところつかんでいない」と述べた。
米国内ではこれまでに2例が確認されている。どちらもサウジアラビアで働いていた医療関係者だった。
CDCによれば、このうちフロリダ州で発症した患者と接触のあった2人の医療関係者がインフルエンザのような症状を示したが、どちらもMERS検査は陰性だったという。
中東歴訪中のヘーゲル米国防長官は14日、サウジアラビアのサルマン皇太子と会談。国防長官のいる部屋に入る人々はすべて、サーモグラフィー装置の前を通らされ、発熱していないかチェックされた。
WHOのフクダ事務局長補によると、こうしたチェック方法は必ずしも勧められないという。発熱の症状がみられない患者もいるため、発熱の有無を確認するだけでは「誤った安心感を生み出す」可能性があると同氏は語った。