福島第一原発の今、CNN特派員が訪問
ここが安全な場所といえるまでになるには何十年もの年月と、何千億円もの費用がかかることだろう。
事故当時、中央制御室で作業員たちが壁に殴り書きした数値のメモも見せてもらった。
防護服の中は次第に暑くなる。汗が背中を伝い、マスクが曇った。この状態で来る日も来る日も働き続ける作業員の苦労は想像を絶する。
原発を出た後に汚染検査を受けた。放射性物質の検出なしという結果が出て胸をなで下ろす。
だがレッドゾーンから出ていくバスの中で、ここで暮らしていた何万人もの人々に思いをはせ、私の心は深く沈んだ。
いつか安心して帰宅できる日が来るのかどうかさえ分からず、自分の家や職場が空っぽのままここで朽ち果てていくとしたら――その無力感はどれほど大きいことだろう。