エボラ熱から「奇跡の生還」、米国人医師にインタビュー
ブラントリーさんの症状は悪化し、やがて呼吸が困難になった。「こんなふうに呼吸を続けるのはもう無理だ。しかし自力で呼吸することをやめたら、人工的に呼吸させてくれる設備はここにない」――そんな考えが頭を巡った。
米国で知らせを受けた妻のアンバーさんも、「怖かった」と当時を振り返る。アンバーさんは現地でブラントリーさんの患者を見ていた。「この病気にかかるとどんな経過をたどってどんな最期を迎えるのか、私には分かってしまった」という。
世界保健機関(WHO)によると、現在流行しているエボラ出血熱の致死率は50%以上。ブラントリーさん自身も米国の同僚へのメールに「恐怖に襲われ、ただ必死に祈っている」と書いていた。
しかしブラントリーさんは山場を乗り越え、闘いに勝つことができた。8月2日に帰国し、米ジョージア州アトランタのエモリー大学病院に入った時は、自力で歩けるまでに回復していた。
同21日、ブラントリーさんは完治して退院の日を迎えた。医師や看護師らと握手して抱き合い、「きょうは奇跡的な日だ」とあいさつした。
だがエボラ出血熱との闘いは決して終わっていない。2日朝、リベリアでともに治療活動に当たったもう1人の米国人医師が感染したとの知らせが入った。ブラントリーさんは同僚を思い、「泣きながら長い時間をかけて祈りをささげた」という。