超大型台風の直撃から1年、復興進むフィリピン
台風の直撃から3週間後の2013年11月に訪れた時、一帯は見渡す限りがれきの山だったという。それでも自宅を建て直すハンマーの音が聞こえ、女性たちは衣類を洗濯して残った壁の間に干し、子どもたちは生計の足しにしようと金属片やガラスを集めて売っていた。
あれから1年。ジェドネル君は仮設学校に通い、週末には友達と遊ぶ。学校も再建が進んでいる。まだ台風や悪天候に恐怖を感じても、怖い夢を見ることはほとんどなくなった。
プラン・インターナショナルは子どもたちの支援に力を入れ、遊びや学習、心のケアなどを受けられる場を提供しているほか、保護者など1万人を対象に、虐待や搾取を防ぐための講習も実施。教科書などの支給や教員の研修を通じて4万人以上の子どもの復学を支援してきたという。
それでもまだやるべきことはあるとノルデンショルドさんは言う。
特に大きな被害が出たタクロバンでは、政府や住民が力を合わせて、大型台風への耐久性を高めた地域社会の形成を目指すプロジェクトを進めている。
ジェドネル君は、科学者になって台風や気候変動について研究するのが夢だという。常に自然災害の危険にさらされるフィリピンでの暮らしについて尋ねると、「ここは僕の一番好きな場所。家族が生活できて、幸せで誇りを持っていられる自由みたいなもの」という答えが返ってきた。