香港の主婦、外国人家政婦への虐待で有罪
羅被告は14年1月、衰弱して働けなくなったエリウィアナさんを帰国させた。トイレにさえ立てないエリウィアナさんにおむつを着けさせ、虐待の跡が見えないよう厚着をさせて空港まで連れて行ったという。
その姿を見かけて不審に思ったインドネシア人女性たちが事情を尋ねたが、エリウィアナさんは当初、報復を恐れて虐待の事実を明かそうとしなかったという。
香港ではこの裁判を機に、外国から派遣される家事労働者らの人権問題が表面化し、法改正を求める声が高まっている。
インドネシアやフィリピンからは現在、約32万人が香港へ渡って家事労働に従事している。2年契約で住み込みが義務付けられ、1カ月に支払われるのは最低賃金の4110香港ドル(約6万3000円)、週休1日という労働条件だ。
国際人権団体アムテスティ・インターナショナルによると、契約が切れた場合、新たな雇用先が見つからなければ2週間以内に香港から退去しなければならないという規則があるため、劣悪な条件に耐え続けているケースが多いという。
エリウィアナさんは昨春、米誌タイムが発表した「世界で最も影響力のある100人」の1人に選ばれた。私立大学からの奨学金を獲得し、今は学位取得を目指して勉学に励む。「将来は外国人労働者を支援する基金を設立したい」と夢を描いている。