100万人が地下暮らし、「ネズミ族」の実態は 北京
地下住居の代わりとなる低コストの選択肢は、北京郊外の「城中村」だ。ただ、長時間をかけて通勤するよりは地下での生活を選ぶ人の方が多いのが現状だという。
アネット教授の調査では、「ネズミ族」が地上に住む人々とほとんど交流を持っていないことも明らかになった。同教授は、「地上に住む人々はできるだけ距離を置こうとしており、ネズミ族に対する恐怖を助長する結果となっている」と話す。
成功をつかみ、地上に「昇格」する例もある。沈氏と最初に親しくなり被写体にもなったペディキュア師の女性の場合、北京東部のコンドミニアムの地下で長年暮らした末、地上に移り住んだ。
ただ、このような成功例は少ない。沈氏は、社会階層を上昇していく「ネズミ族」の例も存在するとしながらも、多くの人々にとって戸口制度が障壁となっている点を指摘する。戸口制度の下では、出稼ぎ労働者が家を買って定住することは難しく、北京に生活の拠点を作り家族を持つ上での妨げとなっている。
同氏によれば、大抵の人は、最終的に故郷に帰り、店を構えるなどして家族を養うことを思い描いているという。