拉致事件乗り越え大学へ ナイジェリアの少女たち

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そんな彼女たちに尋ねてはいけない質問もある。事件の夜のこと、今も行方が分からない学友たちのことは、つらすぎて答えられないという。

奨学金を得て大学に通う自分は幸運だと、彼女たちも自覚している。チボクには、同じように脱出した少女たちがほかにも46人いる。全員がAUNで学ぶには資金が足りなかったのだ。

AUN副総長のエンサイン博士は、大学の基金を通じてさらに資金を集め、これを実現したいと願っている。同博士は昨年、チボクの少女たちがAUNへの進学を希望していると聞いて資金集めに奔走した。入学前には警備責任者とたった2人で危険を冒し、少女たちを迎えに行ったという。

AUNのキャンパス自体も非常事態宣言下のナイジェリア北東部にあり、決して安心できる環境ではない。ボコ・ハラムの影を警戒して厳しいパトロールなどが実施されている。

苦難や恐怖をどのように克服しているのかという質問に、1人の少女はかすかにほほ笑んでこう答えた。「私はとても勇敢で意志が強いから」――確かにその通りだ。しかし彼女もほかの少女たちも、勇気を奮い起こす必要などなくなる日が来ることを、何よりも願っているのだ。

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