キリスト教会襲撃事件で71人に終身刑 エジプト
カイロ(CNN) エジプトで2013年に起きたキリスト教会への襲撃事件で、エジプトの裁判所は30日までに、71人に終身刑の判決を下した。国営メディアが伝えた。
事件は、13年8月にカイロ近郊のギザ県にある聖母マリア教会が暴徒によって放火・略奪されたというもの。暴徒の一部は、キリスト教の一派コプト教の信者を誹謗(ひぼう)し、エジプトを「イスラム国家」にせよと声を上げていた。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチによれば、エジプトでは8月だけで少なくとも42の教会が襲撃された、さらに多くの商店や住宅が被害にあった。
今回の判決では、71人に終身刑が言い渡され、当時未成年だった2人には懲役10年と1万エジプト・ポンド(約15万円)の罰金が言い渡されたという。
有罪判決を受けたうち52人は本人不在のまま裁判が行われた。残る21人はすでに収監されているという。
この事件をはじめとする襲撃事件を起こしたのは、イスラム組織「ムスリム同胞団」の支持者だとの見方もある。ムスリム同胞団は、中東の民主化運動「アラブの春」の後にエジプトで初めて民主的に選ばれたものの軍によって政権を追われたムルシ元大統領の出身母体だ。
ムルシ元大統領は12年12月の大統領宮殿周辺で起きた暴力事件に関連して起訴されていたが、先ごろ禁錮20年の有罪判決を受けた。だがデモ隊に対する殺人刑については無罪とされた。