「サウジがイエメンでクラスター爆弾を使用」 人権団体が非難
(CNN) イエメンで勢力を拡大するイスラム教シーア派武装組織「フーシ派」に対し、政府軍を支援するサウジアラビアが殺傷能力の高いクラスター(集束)爆弾を使用しているとの報告書を、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が発表した。
HRWによると、イエメン北部のサウジ国境に近いサアダ州で、米国製の精密誘導クラスター爆弾、CBU―105が使われた。
CBU―105は装甲車の追跡、破壊を目的とした武器で、目標を検知しなかった場合は空中で自爆するか自動的に不活性化するよう設計されている。ただしこれらの機能がうまく働かず不発弾となった場合、紛争後も長期にわたって市民らに危険を及ぼす恐れがある。
これに対してサウジ軍の報道官は3日、CNNとのインタビューで「HRWも認めている通り、CBU―105は装甲車への攻撃が目的。対人兵器としては使っていない」と説明した。また、HRWは専らフーシ派から情報を入手しているとも批判した。
HRWは報告書とともに、フーシ派側が撮影したとされる映像を公開した。クラスター爆弾が空中で破裂し、パラシュートのついた子爆弾が地上にばらまかれて爆発する様子が映っている。
報告書に添えられた衛星地図によると、標的となった山岳地帯の近くには2つの村落がある。HRWは一方の村落について、平時には約5000人の住民が暮らしていると指摘した。
クラスター爆弾を巡っては116カ国が禁止条約に署名しているが、米国やサウジ、イエメンはこの中に含まれていない。米国防総省は2018年以降、外国政府へのクラスター爆弾の供与を停止すると表明している。米国防当局者はCNNに、「他国への供与は民間人に対して使用しないなどの条件を満たす場合に限定している」と強調した。