少年撲殺の現場映像に抗議の声 バングラデシュ
ダッカ(CNN) バングラデシュの市場で13歳の少年が殴り殺された場面の映像がインターネット上に流れ、抗議の声が上がっている。
死亡したのはサミウル・アラム・ラジョンさん。同国北東部シレット郊外の市場で野菜を売っていたが、12日に盗みの疑いをかけられ、集団リンチを受けて死亡した。
映像はグループの一人が撮影した。柱に縛りつけられ、金属棒で殴られるラジョンさんの姿とともに、集団の笑い声ややじが入っている。ラジョンさんは情けを請い、せめて水を一杯飲ませてほしいと訴えるが、無視されている。
シレット市内の大学病院での検視の結果、頭部に致命傷を負っていたことが分かった。全身の数十カ所に傷跡が残っていたという。
この映像を見て数百人が抗議に集まり、犯行グループへの処罰を求めた。現地の人権団体によると、バングラデシュ国内でリンチを受けた人は2009年1月以降で903人、過去半年間だけで60人に上っているとの報告がある。
ラジョンさんの父親がCNNとの電話インタビューで語ったところによると、ラジョンさんは一家の長男で、心臓病の父親に代わって家計を支えるため露天商として働いていた。「貧乏で学校には行かせてやれず、働きに出した」という。
警察はCNNに対し、すでに3人の容疑者を逮捕したと述べた。このうち1人はサウジアラビアへ逃げたが、13日に同国西部ジッダで拘束された。
父親は犯行グループからの報復を恐れ、「私自身も命の危険を感じる」と話している。