中国国営紙、トランプ氏を酷評 大統領選の優勢受け論調変化
香港(CNN) 中国の国営紙「環球時報」は17日までに、米大統領選で共和党指名候補の獲得に現実味が増してきた実業家ドナルド・トランプ氏に触れ、「大口をたたき、隠し立てない口汚い言動」の持ち主と酷評する論説を掲載した。
中国政府などはこれまで、中国を敵視する発言が多いトランプ氏の米大統領選への参戦について米中関係にはいかなる影響も与えず、同氏の存在は「妨害要因」に過ぎないと軽視する立場を示してきた。しかし、ここに来てトランプ氏の指名獲得が有り得る情勢になってきたことを受け、批判を強める姿勢に転じたと受け止められている。
同紙は当初、トランプ氏を共和党に支持票を呼び寄せる道化役と見なしてきた。これが現在は、共和党は最悪の悪夢となっている同氏を統制出来なくなっているとの見方に変わった。
また、同氏の政治的な台頭は米国の凋落(ちょうらく)と民主主義の失敗を物語るものと指摘。その上で、「ムソリーニやヒトラーが選挙を通じて権力を掌握したことは西側の民主主義の大きな教訓になっている」と主張。米国は中国を「いわゆる国家主義と独裁政治」に絡めて非難する前に、自らが国際的な破壊勢力にならないように注意すべきだと続けた。
トランプ氏は15日、5州で実施された予備選で多数州で勝利し、代議員数をさらに増やした。同氏はこれまでの選挙戦で、貿易問題などで中国を非難し、輸入品への課税強化にも言及。取引を交渉する中国人ビジネスマンの英語のアクセントを揶揄(やゆ)する侮蔑的な言動も示してきた。