域外からの入国審査、指紋と顔写真を記録へ EU
ロンドン(CNNMoney) 欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会は7日までに、域外からの旅行客の自動的な入国審査方法に写真と指紋を導入する計画を明らかにした。テロ対策と治安強化を狙った措置で、ビジネスや休暇が目的の旅行客が対象。
指紋4個と顔写真を利用したもので、2020年までの実施を想定している。集積された指紋などのデータは中央管理システムで5年間保存する。
この新たな審査方法は、移動の自由を認め国境審査を廃止している「シェンゲン協定」に加わる大半のEU加盟国で導入される予定。これにアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーやスイスが加わる。英国は参加しない見通しだが、同国では既に一部の用途に限り生体認証データを収集している。
欧州委は、今回の提案について国境管理の強化に寄与するとしながらも、欧州が現在直面する難民危機への直接的な対応策ではないと主張した。提案の実施にはEU加盟国の支持とEU関連法を検討する欧州議会の承認が必要。実施に必要な経費は約4億8000万ユーロ(約595億円)と見積もっている。
外国人の入国者審査に指紋を用いる制度は米国土安全保障省も運用している。テロ容疑者、犯罪者や入国管理法違反者の摘発が目的で、入国資格がない数千人規模を阻止する成果をこれまで得たとしている。