無人機市場で存在感増す中国、兵器拡散で紛争拡大の懸念も
中国のドローン輸出の影響は顧客だけでなく、米国の輸出政策にも及ぶ。
米国はドローンの国際的な引き渡しを規制する「ミサイル技術管理レジーム(MTCR)」の創設メンバーであり、ドローン輸出をめぐる方針は比較的厳格だ。武装ドローン「リーパー」は主要同盟国である英国にしか輸出していない。一方、中国はMTCRに加盟しておらず、最近は米国が打ち出し強化してきた輸出制限を無視する傾向も示している。
本稿は米国や中国、イスラエルなどが競って積極輸出をはかる「底辺への競争」を支持しているのではない。その逆だ。中国も昨年、ドローン輸出をめぐる制限を強化する姿勢を示した。だが、他国が保有台数を増やしている機種について、中国がこうした制限を順守していることを示す証拠は少ない。
米国の対応策としては、武装ドローンの引き渡しに関する国際的な管理体制に中国を組み込むべきだろう。米国のドローン政策は批判を浴びており、一見すると米国が中国を抱き込もうとするのは偽善的に見えるかもしれない。だが、米国は武装ドローンの分野を主導しており影響力も強いため、これは正しい選択だ。