海に浮かぶ原発、中国が20基の建設を計画
利用するのは発電能力50~100メガワットの小型原子炉で、同様の原子炉は大型原子炉の代替として米国や欧州でも検討が進む。大型原子炉と同じ技術を使いながら工場で組み立てられるため、大幅にコストを削減できるというメリットがある。
こうした小型原子炉では原発最大のリスク要因である冷却剤喪失事故の危険性を排除または低減でき、大型原子炉に比べて安全性は高いという意見もある。
しかし海上では船舶のように不測の事態に見舞われたり、悪天候や高波にさらされて沈没する危険もある。
地上の原発に比べると、外部電力の喪失やテロ攻撃といった外的要因から原子炉を守ることも難しく、安全に運転を続けるためのメンテナンスも困難が伴う。
原子炉が水没して冷却に必要な電力が失われればどれほど深刻な事態を招くかは、福島第一原発の事故で見せつけられた。
原発事情に詳しい英ケンブリッジ大学のトニー・ルールストン氏は、「中国当局は世界各国と同じ安全基準を採用するのかもしれないが、そのプロセスは不透明で、海上の原発が地上の原子炉と同程度の安全性を確保できるのかどうか、外部からは判断できない」と指摘している。