地中海での密航阻止作戦は「失敗」 英議会が報告書
(CNN) 英国議会上院の欧州連合(EU)委員会は15日までに、リビアから欧州を目指す難民や移民らの密航を阻むためEUの多国籍艦隊が地中海中部で昨年5月に開始した摘発作戦は大きな成果を収めていないとの報告書をまとめた。
作戦では約9000人の難民らを海上でこれまで救出したが、難民らの流出、密航組織網の摘発などを意義ある方法で遂行出来ていないと主張。海上での密航船拿捕(だほ)も業者が用いる船舶が木造ボートからゴム製ボートに変わるなど海難がより起きやすい危険な事態を生むだけの結果に終わったと断じた。
この密航阻止作戦は、イタリアのランペドゥーサ島沖合で密航船が転覆し、約700人が溺れる惨事の発生後に打ち出された。地中海の公海上での情報収集、難民らの救出や密航業者の船舶破壊などの任務を担っていた。
しかし、英国のEU委員会は、密航業者らの逮捕は低水準にとどまっており、公海上で陸地の密航組織網の情報を収集するには大きな障害があると指摘した。