ISIS、石油収入減を「増税」で補う
米財務省はISISの資金源を封じる措置は奏功していると主張。同組織による原油生産量は昨年末以降、約30%減少し、その分だけ資金調達能力が削がれていると強調した。同省は以前、原油密売絡みの収入額は5億ドルに近い水準と報告していた。ただ、テロ分析センターの報告書は推定で6億ドルとしている。
スイス・ジュネーブの安全保障政策センターのテロ問題専門家はISISは新たな資金源獲得の選択肢としてサイバー犯罪を見据えているとも指摘。インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」など国際的な銀行取引の規範が適用されないデジタル通貨の悪用を狙っている可能性があるとした。
テロ分析センターは、ISISと外部世界との大規模な取引は依然続いており、有志連合による空爆作戦は同組織の経済活動の封じ込めに一定の成果しか期待出来ないと主張。国連は同組織の支配領域を閉じ込める正式な禁輸宣言にも踏み込めないでいるとも批判した。
同センターの報告書は、ISISの資金源を完全に断つ方途は米ロなどを含めた地上軍派遣による支配地奪還しかないと主張。最も驚くべき事実は国連の安全保障理事会の構成国がISISの制圧地域からセメント、小麦、原油、肥料や他の産品を依然買い付けている諸国を罰しないでいる現状が続いていることだと指摘。同組織が昨年売り付けた綿の量は1万2000トンとされるが、大半はトルコが引き取ったものとされる。これらの事実を踏まえ、ISIS壊滅を狙う国際的な努力は現段階で馬鹿げているとも評した。