ニース事件、死者84人に フランス襲うテロの連鎖
過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が犯行声明を出したパリ同時テロと異なり、今回のニースの事件では容疑者の素性は明らかとなっていない。しかし専門家は、これまでフランス国内で起きた襲撃事件について、北アフリカ諸国にルーツを持つテロリストの犯行だった点を指摘する。
元米中央情報局(CIA)捜査官のロバート・ベア氏は「北アフリカ系の人々はフランス国籍を有してはいても社会から疎外されているとの不満を抱いている。パリ同時テロ以降、北アフリカ系の人々に対する国内での風当たりは強くなり、アラブ系に見える人には通常行われない交通機関での身元確認が公然と行われているのが実情だ。当局によるこうした厳しい対応は、北アフリカ系の人々の過激化をむしろ加速させている」と分析する。
元米連邦捜査局(FBI)幹部のトム・フエンテス氏は、ホームグロウン(国内育ち)のテロの脅威が欧州における重大な懸念事項になっていると指摘。「現在モロッコ、アルジェリア、リビア、チュニジアといった国からの移民の第3世代が欧州で暮らしている。こうした人々はフランス生まれの子や孫の代になっても、自分たちをフランス人とはみなさない」と述べた。
AFP通信が警察の話として伝えたところでは、ニースで群衆に突っ込んだトラックの車内からは31歳のフランス系チュニジア人の身分証明書が見つかっている。