私はまた、インスタグラムやツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディアに写真や動画を投稿する完全な自由も得た。これは、北朝鮮の基準からすれば、本当に並外れたことだ。
おそらく、今回の取材の中で最も啓発的だったのは、北朝鮮のエコノミスト、リ・ジソン教授との会話だろう。
我々は、北朝鮮と中国との貿易関係や、国の配給制度では供給できないものを補完する闇市、北朝鮮で最も給料の高い仕事(炭鉱作業員やそのほかの肉体労働者)について話をした。
リ教授によれば、肉体的にきつい仕事は事務仕事よりも最大で2倍の支払いとなる傾向があるという。しかし、実際の給料については明らかにしなかった。北朝鮮は世界でも最も貧しい国のひとつで、1人あたりの国内総生産(GDP)が年間1000ドルをわずかに上回る程度の水準であることを考えれば、欧米の水準よりも多く稼いでいる人は誰もいない。
取材班が訪れた北朝鮮の百貨店は現実ではないように見えた。そこでは、エルメスやベルサーチ、グッチなどの服やアクセサリーが売られていた。カフェモカを8ドルで売るコーヒーショップも訪れた。
別の複数階の百貨店には高級な電子機器や家電が並んでいた。そこの最上階にはフードコートまであり、朝鮮の料理(地元の人たちにとても人気がある)から西洋風のバーガーとフライ(ちっとも人気がない)まで、あらゆるものが売られていた。
私は、プレートに食べ物を積み上げた何百人もの人々を見て驚いた。「飢えた」北朝鮮のイメージとは違っていた。わずか2年前に飢饉(ききん)が起きたと報じられたことを考えると、多くの人々の心にはそうしたイメージが刻み込まれているだろうが。
もちろん、平壌の生活から、そこ以外の暮らしぶりを推定することはできない。平壌は明らかにショーケースの街であり、リソースの大部分を受け取っている。