金委員長は500人以上の子どもたちに食料や生活必需品を十分供給するよう学校に指示を出したという。彼らはみな、金委員長を父親のように感じているという。子どもたちは政府の忠実な公僕となるよう育てられる。運転やコンピューター科学、料理といった職業能力を身に着ける。これらが一生の仕事となるかもしれない。
私は常に、北朝鮮政府が取材班を招待するのは我々をプロパガンダの目的に利用するためだということを念頭に置いている。取材班が見せられるのは、えりすぐりのものだけだ。
北朝鮮は私の17年におよぶキャリアのなかでも最も挑戦的な題材だ。北朝鮮にはシンプルなものや簡単なもの、率直なものは何もない。
見たもの、経験したものを常に疑う必要がある。
平壌に到着したのは、北朝鮮が中距離弾道ミサイル「北極星2」の発射実験を行った2日後だった。
羊角島国際ホテルにチェックインすると、国営テレビがミサイル発射の様子を報じていた。このホテルは、観光客や訪問者が平壌市内に迷い込まないよう、小島の真ん中に建てられている。
金委員長は過去3年に何度もミサイル発射を行っているが、今回の発射実験は、米国でトランプ政権が誕生してから初となるものだったこともあり、国際社会で大きく報じられた。
数時間以内に、北朝鮮以外の国々はミサイル発射を知った。しかし、北朝鮮の人々は翌日、国営メディアが公式発表するまで、そのことを知らなかった。