北朝鮮在住者が北を非難、異例の短編集「告発」 国外出版の経緯は小説よりも奇なり
ソウル(CNN) 北朝鮮在住の反体制派作家による短編小説集が、世界各国の言語で次々に出版されている。韓国の人権活動家が原稿の存在を偶然知り、協力者を北朝鮮へ送り込んで入手した。
北朝鮮の作者は「パンジ」と名乗る人物。朝鮮語で「ホタル」を意味するペンネームだ。750ページに及ぶ原稿が、「告発」と題した短編集にまとめられている。
架空の物語とされるそれぞれの小説は、北朝鮮の市民生活を映し出している。原稿を入手した韓国の活動家、都希侖(ドヒユン)氏はCNNとのインタビューでこう語った。
「政治犯の収容所も公開処刑も、人権問題も出てこない。北朝鮮に住む人々の日常が描かれていて、それが恐怖をかき立てる。市民が奴隷のような生活を送っていることが分かる」
短編集は2014年5月に韓国語版、15年にフランス語版が出版され、、先月には米英両国の書店にも並んだ。すでに世界19の言語に翻訳されている。
都氏はかつて、北朝鮮から中国国境を越えたところで拘束された脱北者の女性を支援した時に、この女性から原稿のことを聞いた。
女性は作者の親戚で、脱北の計画を打ち明けた際に「原稿を持ち出してくれないか」と依頼された。しかし見つかることを恐れ、断っていたという。