米国務長官がカタール訪問、テロ資金対策で覚書
ワシントン(CNN) 米国のティラーソン国務長官は11日、中東のカタールを訪れてムハンマド外相らと会談した。両国はテロ対策で連携を強化するとの覚書を交わした。
ティラーソン氏はカタールがサウジアラビアなど近隣国に断交された問題の解決を目指して中東を歴訪中。会談後の共同記者会見で、「事態打開に向けて前進できることを願っている」と述べた。
サウジやエジプト、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)は先月、カタールがイスラム組織を支援し、サウジなどが敵視するイランと親密な関係を維持しているとの理由で、同国との国交断絶を発表。領空を閉鎖し、市民に渡航禁止や国外退去を言い渡す措置を取った。イエメン、モルディブ、リビア東部の暫定政府もこれに続いた。
米国にとって、関係諸国は全て対テロ作戦で連携するメンバーだ。特にカタールには中東最大の米軍基地があり、空爆作戦の拠点になっている。
ティラーソン氏はカタールとの覚書について、準備は1年前から進んでいたと述べた。両国が連携してテロ組織への資金の流れを阻止し、情報交換などを通じて対テロ活動を強化するとの内容。節目ごとの目標も設定されているという。
断交問題をめぐって米国務省を訪れたカタールの国家人権委員会(NHC)委員長はワシントンでの記者会見で、断交は深刻な人権侵害だと改めて主張。「カタールのどの家庭もUAEやサウジに親戚がいる」と訴え、カタール国内に住んでいた湾岸諸国の国民も大きな影響を受けていると指摘した。
アラブ諸国側はカタールに対して、イランやテロ組織との関係を一切断ち、同国の衛星テレビ局アルジャジーラを閉鎖することなどを求めている。サウジなどの4カ国は11日深夜に発表した共同声明で、カタールが要求に応じない限り断交を続けると表明した。