脱北女性、帰国し宣伝ビデオに出演 韓国の日々は「生き地獄」
ソウル(CNN) 3年以上前に脱北して韓国のテレビ番組にも出演していた女性が、最近北朝鮮へ戻り、政府の公式サイトのビデオで韓国を批判していたことが19日までに分かった。
この女性は北朝鮮生まれのチョンヘソンさん。2014年に脱北し、韓国で暮らしていた。韓国では「イムジヒョン」と名乗り、脱北者らが北朝鮮の政治や文化について語る人気テレビ番組「牡丹峰(モランボン)クラブ」に数回出演していた。
しかし、北朝鮮政府の公式サイト「わが民族同士」で15日に公開されたビデオでは、同番組を「政治宣伝」と批判。「北朝鮮の悪口を言うよう命じられた」と主張している。
チョンさんは先月、韓国から北朝鮮へ戻ったとみられるが、その方法や状況は不明。韓国の首都ソウルで「心身ともにつらい思い」を経験し、今は平安南道の安州で両親と暮らしているという。
チョンさんは「番組がうまくできたら、映画に出て人気者になれると思っていた」と話す。番組への出演を強制されたと主張するが、制作した韓国の朝鮮放送はこれを否定している。韓国統一省が詳しい状況などを調べているという。
北朝鮮から韓国へ向かう過酷な道のりについては、これまで多くの脱北者がCNNに語ってきた。韓国入りを果たした後に待ち受けているのは、スパイでないことを確認する検査や韓国社会に適応するための教育プログラムだ。
それでも、生まれ育った環境とは大きく違う資本主義社会になかなか順応できず、絶望感や疎外感を抱いてしまう脱北者は多い。