北朝鮮に深刻な干ばつ危機、国連が食料不足懸念
(CNN) 国連食糧農業機関(FAO)は22日までに、北朝鮮で2001年以来最悪の水準となる干ばつが発生する見通しだと明らかにした。主食である穀物の収穫量が落ち、国民が深刻な食料不足に見舞われる可能性が高まっているという。
FAOは報告書の中で、降雨量が直ちに増えなければ17年の穀物生産の大幅な落ち込みは避けられないと指摘。「このまま日照り続きの状態が続くと、食糧安全保障の状況は一段と悪化する公算が大きい」との認識を示した。
北朝鮮は今なお、1990年代後半に起きた飢饉(ききん)からの回復の途上にある。世界食糧計画(WFP)の推計では、同国の人口2500万人の70%は「十分な種類の食物」を摂取できていないとみられる。
今年は農産物の生育に重要な4~6月にかけて乾燥した天気が続き、コメやトウモロコシといった主食の収穫への影響が懸念されている。
FAOは声明で「主要な穀倉地帯での今季の降雨量は、2001年の水準を下回っている。この年の穀物生産量はわずか200万トンと、前例のない水準に低下した」と述べた。
その上で、北朝鮮の農業生産者と一般国民に向けて、灌漑(かんがい)設備や食糧の提供といった支援がすぐにでも必要だと指摘。「各世帯が自然災害や気候変動への対応力を高めていけるよう、長期的な施策を導入することも求められる」と訴えた。
北朝鮮では1995年から99年にかけて、干ばつと飢饉のために少なくとも200万人が死亡したとみられている。この時は死者数の増加を食い止めるため、世界各国が数百万トン規模の食糧支援を実施した。