ノーベル経済学賞に米セイラー氏、行動経済学の先駆け
ニューヨーク(CNNMoney) スウェーデン王立科学アカデミーは9日、今年のノーベル経済学賞を米シカゴ大のリチャード・セイラー教授に授与すると発表した。授賞理由は行動経済学の分野での研究。人々がまずい意思決定を下してしまう理由に関しての画期的な研究が評価された。
セイラー氏の仕事はオバマ前米政権に影響を与えたほか、映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」でのカメオ出演にもつながった。900万スウェーデンクローナ(約1億2500万円)の賞金を手にするセイラー氏は記者団に、「できる限り非合理的な使い方をしてみるつもりだ」と語った。
経済学が立脚しているのは、経済的な幸福を増大させることへの欲求に基づき、人々が合理的な意思決定を下すという想定だ。経済学者は長年、厳密にはこれが真実ではないことを知っていたものの、セイラー氏は、人々がときに非合理的な決定を下してしまう理由や、より賢明な決定を下すよう人々に促す方法について先駆的な研究を行った。
同アカデミーの委員は、「彼は経済学をより人間的なものにした」と指摘。セイラー氏は記者団に、自身の仕事の最も重要な意義として、「経済学の良い研究を行うためには、人々が人間的な存在であることに留意しなければならない」との理解に至ったことを挙げた。
セイラー氏の仕事は学問の領域の外でもよく知られている。住宅ローン債について説明するため、映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」にカメオ出演したことも。また2008年に出版された共著「実践 行動経済学」は、一般読者の間で好調な売れ行きを示した。