カナダの医師、自分たちの昇給に抗議運動
(CNN) カナダのケベック州で、総額7億ドルに上る医師の昇給が実現したことに対し、医師自らが抗議の署名運動を展開している。医師よりも、看護師など医療従事者の昇給や、患者の医療費負担軽減に予算を充てるべきだというのがその主張だ。
「今回の昇給はショックが大きい。近年の大幅な削減の影響で、看護師や事務職員などは非常に厳しい仕事環境に直面し、患者は必要な医療を受けにくくなっている」「我々(の給料)のみが、そうした削減を免れているようだ」。医師の嘆願書ではそう指摘。署名した医師や医学生などは、2月25日以来で700人を超えた。
ケベック州の医師約1万人は、州との間で成立した合意に基づき、1.4%の昇給が受けられることになった。これで医師の年収の総額は、それまでの47億ドルから54億ドルへと増える。
カナダの医師が保健省から受け取る給与の平均は、1人当たり26万ドル。
ケベック州の保険局長は医師の署名活動について、「彼ら自身が受け入れるなら、私も受け入れる」「だがそうした立場の医師は、まだごく少数派にすぎない」と説明。医師の過半数の賛成が得られなければ、昇給の取り消しはできないと語った。
今回の運動のきっかけの1つになったのが、ケベック州の看護師の間で、重労働や賃金の低さについて不満が噴出していたことだった。
そうした看護師の1人、エミリー・リカードさんは今年1月、ソーシャルメディアへの投稿で、1日に70人以上の患者を担当して疲れ切っていると訴え、「できるだけのことをしても貧しい看護しかできないことを恥ずかしく思う。私の医療システムは病んで死にかけている」と書き込んでいた。